竹内道宏(26歳)part.5|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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5.社会の仕組みが気持ち悪い

ーーたくさんの人と出会って、それを生かして今後どうしたいっていう考えとか望みってありますか?

「最終的にはね、葬式を盛大にやりたい、って思ってるんですよ。そういう人は他にも結構いると思うんですけど、自分の葬式を想像して泣いたりするんですよ。そういうことないですか?」

ーーいや、すいません、ないっすね(笑)

「あぁ(笑)。僕小さい頃寝る前とかに、自分が死ぬことをよく想像してたんですよ。葬式とかまでね。そうしたらあんまり好きじゃない人とかも葬式に来て泣いてくれてて、僕はそんなに大事に思ってもらえてたんだって想像して泣く、っていうイタイことを結構やっていて。そういう想像は高校くらいまでよくやってましたね。僕がいなくなったことで泣いてくれる人がいるのが、僕は嬉しいんですよ。絶対みんな死にますからね。だからこそどうせ死ぬのであれば、僕の存在というものが少しでも人に知られて、誰かの人生に影響を与えていたら嬉しいなって。やっぱり最後の作品というか、人生の集大成って葬式じゃないかなって思うんです。エンドロールですよね。エンドロールに名前が出てくる人が多ければ多いほど、僕の人生が超大作になったってことだし、短ければこじんまりした作品だったってことだし」

ーーいろんな人と、出来るだけ多くの人と関わって生きて行きたいってことですかね

「そうなんですよね。もっとだから、個人の意思で接したいなって思うんですよ。「○○社の□□と申します」っていうのは、なんか僕は違うよなって。僕も会社にいた頃はよく言ってたんですけどね。「○○社の〜」とか言われるのもちょっと嫌だし、年下なのに敬語とかもなんか違うなって思っちゃうんですよね。僕みたいなフリーターって多いと思うんですけど、僕はまだ大人になりきれないですねそういう部分は。だからこういう人生を選んじゃったってこともありますよね」

ーーそういう理由で会社に入るのに抵抗があるっていうのは分かるんですけど、安定した生活とか安定した収入への憧れみたいなものはないんですか?

「それはそれでありますよね。でも、うーん……。そのために、っていうね」

ーー会社に入ってまでではない、っていうことですよね

「なんかね、その「○○社の〜」っていうのが、なんかね。僕は僕でしかないはずだし、あなたはあなたでしかないでしょって思っちゃうんです。そういうのって有名か無名かみたいなものでもあるんですけど、関係ないハズなんですよね。小さい頃のことを思い出すと、始めましてって言う時って、どこかに属しているわけでもないじゃないですか。子どもの頃の、あの時の純粋な、なんのプラスアルファもない、そういうのを追求して考えたいなって思うんです」

ーーでは将来的にはなにになりたいんですか。目標というか。

「小説なんですよね、実は。文章で食って行けたらなっていうのがあって。文章で存在を叩き付けたいなって。文章ってその人にしか書けないじゃないですか。絵っていうのは色んな模写とかもあるし、そういう作品としても出来るし。でも文章をそのまま書き写す作品なんてないですからね。だから文章を書きたいなって思いますね」

ーーこれは難しい質問だと思うんですが、どうしたら文章で食って行けるようになると思いますか?

「賞を取るとか……正攻法ではそれくらいですよね。それは将来的にはそうなりたいですけど、正直よく分からないですね。前にたまたま雑誌の編集長と知り合って原稿書けたっていうのもあるし、どこでどうなって行くか全く分からないですね。文章で食べていくなんて誰もがなれるわけじゃないからこそ、そこになりたいっていうのがあります。
 それに小説じゃなくても、mixiの日記とか書くのが本当に好きでね。ライブとか観てても、これをどう書こうってやっぱり思っちゃうんですよ。楽しかったこととかもやっぱり書いて完結するみたいのところがあって」

ーーでも文章を書くって孤独じゃないですか?

「そうですね。でもそれが好きなんですよ。文章もひとりじゃないと書けないですけど、パフォーマンスでやってることもひとりでヘッドフォンしながらじゃないと作れないものだと思うし。それに孤独でありたいっていうのもありますよね。僕は小学校の頃からひとりで遊んでたし、ワイワイ楽しそうにやってる人たちになれなかったんですよね。ひとりでカリカリ漫画描いてて。その時は別に寂しいわけじゃなかったんですけど、やっぱりひとりじゃないと出来ないことが好きだった、っていう。それを今もやってるっていうのが今の僕だし、だからこれからも孤独にやり続けるのかなって思ってるんです。僕が尊敬している人たちがみんな孤独な人たちっていうのもありますし。《神聖かまってちゃん》の の子さんなんて、僕が出会った人の中で一番孤独ですよ。僕はそれほどまでは孤独じゃないですけど、本当にひとりの世界っていうのが好きなんですよ。格好良く言うと、僕対世界、みたいなね(笑)。それが僕のHPのタイトルでもあるんですけど」

ーーそういえば、あのHPの名前(全世界組織解体続行委員会)の由来ってなんなんですか?

「あれは、僕は昔から団体行動が苦手やったんですよ。中学の時とかグループで行動している人たちを見る度に、すごい「へっ!」って思ってたんです。早く帰りたいのに無理して付き合ってる人とかもいるんだろ! とか思ってたんですけど、でも妙に羨ましさもあって。でも僕はああはなれないなって思ってて。ひとりの気持ちっていうのは団体になると消えちゃうじゃないですか。それは仕方のないことだし、社会というか組織というか、そういう仕組みになってますから。でも僕の中では僕の意思をどうしても持っていたかったし、その意思と意思で人と付き合いたい、会話したいっていうのがずっとあるんですよ。どっかに属していて、その属している場所の言葉で喋るよりも、その人の意思で喋って欲しいと思って、全世界組織解体すればいいんだ、って思って。みんな個人であってほしいっていう。個人個人で対話しようって気持ちがあって。組織ってものが僕は嫌やっていう。タイトル考えてた当時に、大きい会社もリストラ始めたみたいなニュースが何度も流れてて。会社に属するつもりは当時からなかったけど、リストラって怖いなーとか思ってて。そういう団体って信じたらやっぱり怖いもんなんやなって思って。
 あんまり関係ないかもしれないですけど、あの福知山線の事故の時に僕はまだ兵庫にいて、あの路線を毎朝使っていたからもしかしたら乗ってたかもしれないんですよ。それであの事故ニュースはすごい見てたんですけど、どうして事故の責任を社長が取らないといけないんだろうっていうのが不思議だったんです。運転していた人が事故を起こしたのに、責任取らされるのは会社とか社長っていうのが僕の中では気持ち悪くて。それが社会としては当たり前のことなのかもしれないですけどね、それがどうしても気持ち悪かったんですよ。責任ってその人自身にしかないものだと思うんですよね。でもそれが会社全体に広がるっていうのがよく分からないんです。それが社会なんでしょうけど、でも僕はそういう社会に疑問を持ち続けたいなっていうのがあって。そういう気持ちが僕をひとりにさせてますね」

ーー竹内さんのmixiの日記って量的にかなり多いじゃないですか。あれだけの量の文章を定期的に日記にアップしている人だと、人に読まれることをあまり気にしないで感情が溢れるままにひたすら書き殴るってタイプの人なら結構いると思うんです。でも竹内さんてそうじゃなくて、ちゃんと人に読まれることを意識して、読みやすくとか面白くってことをちゃんと考えて書いてますよね。それって文章に対して相当に自覚的じゃないと出来ないことで、だからきっとライターとか作家として生きて行きたいのかなとは思ってたんですよね。

「本当にそうなんですよね。書くことを常に考えちゃってますからね。まぁ全部遺書みたいなもんだと思ってます、文章なんて」

ーーでは最後に、30歳までの目標をこちらに書いて下さい。

「まぁこんな感じですね。本を出す!!」

竹内道宏08

おわりに


 話を伺っていた四時間弱のほとんどを、竹内さんは喋り続けた。その話し振りからはこちらの期待に応えたいという誠実さや真面目さと、想いをうまく言葉にできないもどかしさが伝わって来た。幼少期について伺った時には、辛かった時期を思い出す心苦しさからか時々言葉を濁すこともあったし、自分への劣等感やネガティブさが言葉の端々から滲むことも多かった。しかしそれでも彼が全てを語ってくれたのはやはり彼の真摯さゆえであり、その真摯な人柄こそが彼の周りに新たな仲間を呼び、様々なフィールドで活動させる根源となっているのだろう。竹内さんの人柄から生まれる輪はこれからも大きく面白くエキサイティングに展開して行くはずだ。

 社会にうまく馴染めないと自覚する竹内さんが今後どのようにして社会と和解するのか、もしくは対峙し続けるのかということは、今なにかを創りなにかを成そうとしている同年代の人たちも多かれ少なかれ胸に秘めている命題なのだと思う。竹内さんの中でいつかその命題に答えが出たら、またお話を伺いたいと思う。

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竹内道宏
(26歳/ライター・イラストレーター・パフォーマー)

竹内道宏プロフィール

たけうちみちひろ 1983年9月12日兵庫県生まれ
大学卒業後に上京し、日本映画学校に入学するも学費が払えなくなり半年で退学。高校時代に開設したHP「全世界組織解体続行委員会」やmixiにアップした中川翔子のライブレポが話題を呼び様々な交友関係を広め、ライター業を開始。一時出版社に勤務し編集者としても活動していたものの、今は退社しフリーのライター、イラストレーターとして活躍中。最近では『界遊』『spotted701』などに寄稿。
音楽を聞きに来たライブハウスの客たちを異様な風貌と意外な展開で爆笑に誘うステージングが大好評のパフォーマーであり、2010年1月には《THE NOVEMBERS》も出演するイベント「動物園 vol.1」に出演予定。今年のサマーソニックにも出演し話題沸騰直前のバンド《神聖かまってちゃん》と親交が深く、彼らのライブ映像を撮影しyoutubeにアップしている(たけうちゃんねる)カメラマンでもある。

「全世界組織解体続行委員会」
youtube たけうちゃんねる
twiiter:@takeuching

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