4.社交的になれなかった自分への復讐
ーーではアンケートで答えてもらったものについてなんですが、むらた泌尿器科の看板下っていうのがもの凄い気になるんですけど……(笑)
「気になりますよね(笑)。それはね、僕が昔住んでたマンションの一階にあったのがむらた泌尿器科だったんです。だからマンションにでっかい看板が掛かってたんです。それで「竹内くん家って村田泌尿器科の下やろ」って言われるのがすごい嫌ややったんですよ。おしっこ臭いイメージがあるじゃないですか。実際おじいちゃんとかがいっぱい来てて。僕の家は3階やったのに、なにを思ったのか知らないおじいちゃんが入ってきて。ここ泌尿器科ちゃうで、っていうこともあって(笑)」
ーー苦い思い出ってことですね(笑)。じゃあ文章、イラスト、映像、パフォーマンスと活動が幅広いですけど、一番好きなことって何ですか?
「イラストですね。いちばん面倒臭くないし。パフォーマンスとかは作業が結構時間かかるから。絵はパパっと描いてもう出来ますからね」
ーーあれってパソコンで書いたりしてるんですか?
「いや手書きですね。下書きからして、それをスキャナで取り込んで」
ーー女の子の絵が多いですけど、やっぱりあれは好みの女の子なんですか?
「(笑)。まぁ可愛い子のほうがいいじゃないですか。可愛さがほしいんですよね、格好良さじゃなくて。可愛いほうがどこにいてもいいじゃないですか」
竹内さんのイラストよりーーそして男の人はあまり描いてないですよね。描いたとしても気持ち悪いオジサンとかが多くて。
「まぁ格好良い男を描いてもなんのテンションも上がらないですから(笑)。でも可愛いのばっかりじゃアレだから、バランスっていうか。オジサンと可愛い子とか、可愛い子と血とか。ギャップじゃないんですけど、あまりストレートに出したくないっていうのもあるかもしれませんね」
ーー創作意欲のもとは? っていうアンケートの答えが「復讐心」じゃないですか。これは格好良い男たちへの復讐心というか、醜い男しか描かないのは外見が良い男に対してなにかネガティブな感情があるからなのかな、とか思ったんですけど。
「あー(笑)。いや……格好良い人を格好良く描くのが嫌ではないんですけど。格好良い人に対するなにかっていうのは特にないですよ。復讐心っていうのは自分に対してではないし、他人に対してでもないし、取り戻せない時間に対してっていうか。あの頃の鬱屈していたものに対して、っていうか。人に対するものではないんですよね、すごい漠然としてるんですけど、なんか悔しさをバネにはしてますよね」
ーーあの頃、っていうのは?
「復讐したいのは……オールタイムですね。小学生くらいの頃とか中学の頃とか。自分を分かって欲しいって気持ちがあるんですよね。でも分かってくれないもんじゃないですか。だからそういうものに対する悔しさっていうのがあって、憎しみっていうか悔しさですよね。それって結構みんな持ってるものだと思うんですけど」
ーーあぁなるほど。復讐心というか悔しさですね。歌手でも作家でもなんでもそうだと思いますけど、なにかを創る人っていうのは劣等感とか、どちらかというと負に近い感情を持っている人の方が多いですよね
竹内さんのイラストより「そうですよね。劣等感というと結構ありますもん僕も。スポーツも苦手だったし、クラスに馴染めなかったし。今までどこにも馴染めたことがない気がするんですよね。僕の居場所ってどこなんだろうって考えるし。そういうのが良くないとは思ってるんですよ。もっと飛び込んでったほうがいいと思っていて。でも上手く出来ない悔しさみたいなのがあって。だから人と接するために表現しているというか、絵を描くのもイベントに呼んでもらうのも文章書くのもそうだし、これだけは僕言いたいことなんですけど。もしかしたら復讐心っていうのは自分の性格に対するものなのかもしれないですけど、やっぱりその分、他の人と同じように人と普通に接することができないからこそ、こういう表現で繋がれるじゃないですか。実際色んな人と知り合えたりしたし。そういうもので取り返して行きたいんですよね。普通にみんなと接することが出来なかった分。生身の僕だけでは無理だから。時間かけてなにかをやって、人と会うために。出会うためにね」