竹内道宏(26歳)part.3|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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3.ずっとフィルム映画を追いかけていたんです

竹内道宏05イラストによく登場するインコのチュンちゃん。

ーーでも今まで漫画を描いていた膨大な時間っていうのは、漫画に飽きてからはどうなったんですか?

「それが今度は映画なんですよ。中学二年の終わりくらいの頃、近所にワーナーのシネコンが出来て。それでオカンがお金あげるから観に行ってきなよって言ってくれて、最初に観たのが 『メン・イン・ブラック』 (’97)だったんです。中二の11月くらいですかね。それを観てすっごい衝撃を受けて。こんな面白ものが世の中にあんねやって。世の中の人みんな宇宙人かもしれないんだ! って思いましたもん。うわーーー
ーーすっげーーーって。もうそっから映画の世界にどっぷりと」

ーー中二でひとりで映画観るってかなり早いですよね!? 中学生じゃ映画が好きな友達なんてあまりいなかったんじゃないですか?

「そうですね。でも友達も誘ったりしましたよ。もう本当におこづかい全部映画に使ってましたね。一週間に一本は観てました。中学生は1000円で観れるし。その記録がこれでね、ムービーノートっていう。ここに観た映画を書いていって」

ーーうっわ!! これはすごい。これを書き始めたのはいつ頃だったんですか?

「多分観始めて1年後くらいかな。もともとパソコンに観た映画と日付は入れてたんですよ。それをノートに起こして、それからはずっとこっちに書いてますね。今見返すと、この年にこれ観たんだとか結構思い出して面白いですね」

ーー初日で観ているものが多いですけど、それは初日に観るっていうこだわりみたいなものが?

竹内道宏06過去に観た映画を記録したあるムービーノート「ありましたね。しかも初日の初回ですね。誰よりも早く観たかったんですよ。作品はもう全然選んでなかったですし。この当時でも 『マウス・ハント』 (’98)なんて観たかと思えば 『L.A.コンフィデンシャル』 (’98)観てたりとか、『釣りバカ日誌10』(’98)まで観てる(笑)。あと何回も観てしまうのも僕のクセで。ひとつの映画好きになったら恋しちゃうんですよね。また会いたいとか、あのシーンをまた観たいとか」

ーーDVDまで待てない?

「DVDが出た頃にはもう飽きてるんですよ。やっぱり映画館で観ないと意味がないみたいのもあって。でもビデオとかでもすごい観てましたけどね。中三の夏休みは一日三本観ていて、勉強なんて全然してなかったですよ。それで夏休みの生活記録はほとんど映画の記録で、レビューを書きまくって。でも読むのは先生だけなんですよね。誰に見せたいとかじゃなくて、ただ書きたかったんですよ、不思議なもんで」

ーーそんなにたくさん映画を観ていて、作品の好みとかはなかったんですか?

「ハリウッド映画がずっと好きだったんですよ。だから片っ端からって感じで。だけどあるとき名作を観たくなったんです。大人びちゃって、中二病ですね(笑)。フランソワ・トリュフォーとかジャン=リュック・ゴダールとか観て、分かったフリしてたんですよ。でもチャップリンを観た時は普通に爆笑して。結構バイオレンスでパンクで、社会風刺もあるし、しかもめっちゃ格好良くて、そっからもうチャップリンばっかりでしたね。学校でもみんなに薦めて」

ーー中学生でチャップリン見てる人なんていないですよ!!

「でもそれまでは僕もオスカー穫った作品とかフランス映画とか観て自分を高めたいみたいのがあったんですけど、チャップリンだけは人に薦めたくなって、実際薦めたら友達が普通にハマったんですよ。これはやっぱチャップリンってすごいんやな、と思って。中三のころはチャップリンがバイブルでしたね」

ーーチャップリンのなかでいちばん印象に残っている作品ってなんですか?

『街の灯』 (’31)ですね。悲劇でもあるし喜劇にもなってるあの再会のシーンとか。それと格闘シーンがダンスみたいで、その動きがとにかく面白くて、あれがやっぱり自分の中では衝撃でしたね。ハリウッドのCG使った映画よりも迫力ありましたよ。クリエイターとしていうならチャップリンが自分の中ではいちばんですね。音楽もやるし、俳優も監督もやるし」

ーーそれくらい若い時から映画にのめり込んでいると、自分が監督になりたいって思うのが自然な流れだと思うんですけど、その頃はまだ映画を作ろうとは全然思わなかったんですか?

「いや、なぜか作る方向には行かなかったんですよまだ。今考えると生意気なんですが、レビューを書きたいと思ってましたね。それで高校では新聞部に入って、月刊で全校に配っている新聞の中に、自分の映画のレビューのコーナーを持たせてもらって。それが相当嬉しかったですね。反響は別に気にしてなかったんですけど、みんなに配られるっていうことが嬉しかった。書いたものが読まれる喜びよりも、僕が好きな映画が知られるという喜びが大きかったんですよ。例えば 『トゥルーマン・ショー』 (’98)とかすごい好きだったんですけどね、その存在がみんなに知られるっていうことが嬉しかったんですよね」

ーー映画を作りたいけど自分には作れないからレビューを書くので我慢しよう、って感じではなく…

「まぁビデオカメラとか機材がまずないしっていうもありましたけど、でも作ろうって気持ちはなぜかなかったんですよ。僕はもう本能のままだったんですけど、好きなものを語るのが好きだったっていう」

ーーでも大学は映画を作るために映像学科に入るんですよね?

「そうなんです。高校三年の頃に邦画って面白いなってことにようやく気付いて、これやったら作れるんじゃないかって思ったんですよ。ずっとハリウッド映画を観ていた頃は、こんなんは自分には無理だし、っていうのがどっかにあったんですけど。それで大学選んだんですけど、まぁグダグダしてましたね。撮り始めると意外と上手いこといかないってことに今さら気が付いちゃって。ネタを思いついても役者もいないし撮る場所もないし。技術もそんなに具体的なものを教えてくれるわけではなくって、結構グダグダになってしまって。ものを創りに来たのに、周りに一緒にやりたい人がいなかったっていうか。こういうこと言ったらアレですけど、せっかく芸大入ったのに英語の授業あるし体育もあるし、コレはなんなんでしょうって思ってて。でもそこでチッツのメンバーに出会えたことだけは良かったですね。チッツはすっごい刺激になりました。
 ローンでカメラを買って多少は撮ったりもしてたんですけど、ちょうどその頃憧れたのがアートシアターギルドの映画で。でもあれって全部フィルムじゃないですか。その質感に憧れてたんですよね。それで先生が持ってた16ミリカメラを頼み込んで貸してもらって、フィルムもコダックで学生料金で買って作品撮って、現像もイマジカに頼んで。それは映画っていうか90秒の映像作品みたいな感じだったんですけど、主演はチッツのボーカルに出てもらって。それは学内でやってた賞の作品賞を貰ったんですけど、まぁそれくらいでしたね」

ーーグダっていながらも、大学卒業後にまた映画を学ぼうと専門を選んだのはなぜ?

「映画はフィルムで取れる環境なんですよね、日本映画学校は。ずっとフィルムを追いかけてたんだと思います。でも日本映画学校って軍隊みたいなところがあって、結構厳しい学校なんですね。生半可な気持ちで入ってはいけないところなんです。いきなり入学式で「君たちは今そんな顔してるけど、これから本当に大変な思いをすることになるよ」って天願大介監督に言われて。本当に変わった学校でしたね。教えてくれるっていうか、学びに行くっていう。でもそういう部分に僕も憧れていて、いいなって思ったのもあったんですけど、やむなく。それからはフリーターで特にということは……ないですね(笑)。まぁでもやりたいことやれてますけどね」

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竹内道宏
(26歳/ライター・イラストレーター・パフォーマー)

竹内道宏プロフィール

たけうちみちひろ 1983年9月12日兵庫県生まれ
大学卒業後に上京し、日本映画学校に入学するも学費が払えなくなり半年で退学。高校時代に開設したHP「全世界組織解体続行委員会」やmixiにアップした中川翔子のライブレポが話題を呼び様々な交友関係を広め、ライター業を開始。一時出版社に勤務し編集者としても活動していたものの、今は退社しフリーのライター、イラストレーターとして活躍中。最近では『界遊』『spotted701』などに寄稿。
音楽を聞きに来たライブハウスの客たちを異様な風貌と意外な展開で爆笑に誘うステージングが大好評のパフォーマーであり、2010年1月には《THE NOVEMBERS》も出演するイベント「動物園 vol.1」に出演予定。今年のサマーソニックにも出演し話題沸騰直前のバンド《神聖かまってちゃん》と親交が深く、彼らのライブ映像を撮影しyoutubeにアップしている(たけうちゃんねる)カメラマンでもある。

「全世界組織解体続行委員会」
youtube たけうちゃんねる
twiiter:@takeuching

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