野口尚子(26歳/印刷コーディネーター)part.4|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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4.何ができるのかを常に探していたい

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ー印刷のディレクションで難しいことってなんですか?

野口 たくさんありますけど、自分がどうしたいということはまず置いといて、あくまで相手のデザイナーさんが作りたいイメージをどう形にできるかを考えなきゃいけないことですかね。だから自分のやりたいこと以外でも、常に情報収集しておかないといけないんです。自分はこれが好きだからこれだけ分かっていればいいや、っていうのじゃダメで、出来る限りいろんな情報を常に抽出していかなきゃいけないのはちょっと大変ですね。

ーそういう情報収集みたいなことは普段どうやってやられてます?

野口 ウェブで調べることももちろんすごく多いんですけど、見たことのない印刷物があったら奥付を見て業者を調べておきます。それでおもしろそうだったらその会社をストックしておくと。そういう作業は日常的にやっています。

ーではアンケートについてなんですが、日頃心がけていることは「思い切り泣いたり笑ったりする」。それは感情をあまり我慢しないとか?

野口 うん、子供の頃はわりとクールで閉じた感じの子供だったんですけど、大学の時の先生が「感情は使わないと減る」って言っているのを聞いて考えが変わりましたね。最近ものすごく面白かったことや思い切り笑ったことをパッと思い出せないようじゃダメだって。

ーおぉ、確かにそうかもしれない。いい言葉ですね。

野口 会社員の時は感情をあまり表に出さないようにしてたこともあったんですけど、フリーになってからは自分のモチベーションを保つという意味も含めて、ちゃんと感情を出してそれを反映して仕事していくほうが健全かなって思うんです。

ー不安なのは「眠気に勝てないこと」ですか。

野口 ぜんぜん勝てない!

ーでもすごい仕事してるイメージありますよ。

野口 いやいや、特に冬はダメなんです。

ーさっき自宅で仕事したら絶対サボるって言ってたじゃないですか。僕は普段自宅で仕事してますけど、まぁ勝てないですね。

野口 ですよねー。

ーつい寝ちゃいますもん。

野口 眠いもんね。それは仕方ない!

ー制作意欲のもとは、「憤り」。怒ってるんですか?

野口 もっと受け入れられやすい言葉だと問題意識ってことかもしれないです。でもあえて憤りって言いたいなと思ってます。できるだけ健全なモノづくりがしたいと思っていて。そのためにできることを考えてやりたいなってことです。

ー将来的に目指したい人や目標にする人っていますか?

野口 うーん、あまりいないかなぁ。自分がこれからどこまでできるのか、何ができるのかを常に探していたいとは思っているので、あまり明確にこういう人みたいになりたいというイメージはないですね。来年の私は何ができるだろうとか。五年後になったらどうなってるだろうとかは考えてます。

ー今は本や出版が厳しい状況があって、雑誌だけでなく紙媒体がどんどんなくなっていってますよね。印刷を仕事にしている野口さんとしては、その現状はどう考えてますか?

野口 ちょっとずるいことを言ってしまうと、私みたいな仕事が成立するのは不景気だからってのもあるんですよ。印刷業界の未来が縮小する方にしか向かってないから、私みたいな個人が間に入ってディレクションすることがやりやすくなっている状況なんですね。印刷所としても、今までと同じことをやっていても先が見えない状況になっているので、外からの新しい提案も受け入れられやすくなっています。東京の印刷業の中では特にシェアを占めてるのが書籍の印刷だと思うんですけど、それが縮小していくのはもうしょうがないし、そこを私が改善しようとするのはちょっとお門違いだし。だから私は、今までと違う印刷ルートがある、違うやり方もあるよというのを、お客さんにも印刷所にも提案したいんです。印刷の可能性っていうのかな、それをもっと広げられたらなと思ってます。

ー印刷技術がなくなるとは思わないですか?

野口 印刷って本当にベーシックな製造技術なので、なくなることはまずないです。例えば紙だけではなくて、Suicaとかの磁気カードだって印刷技術でできているし。なので、その使い道をもっと広げる、違う展開方法はまだたくさんあるんじゃないかなとも思ってます。

ーそうそう、僕は印刷っていうと紙のイメージがすごく強かったんですけど、Suicaもそうだと聞いてすごく驚いたんです。

野口 一般の人はやっぱり印刷=紙ですからね。あとはICチップも印刷技術なんです。今は大日本印刷や凸版印刷は書籍から別のテクノロジーにシフトチェンジしてますしね。

ーうーんなるほど。色々あるんですね。では最後に、30歳までの目標をお願いします。

野口 そうだなぁ……あんまりクリエイティブなことじゃなくてもいいですか?

ーあ、なんでもいいですよ。

野口 こんな感じかなぁ?

野口尚子(26歳/印刷ディレクター)

ーおー、たしかにクリエイティブ。

野口 でしょでしょ?

ー椎名林檎が「出産と子育てはなによりもクリエイティブな行為だ」ってテレビで言ってました。

野口 実際にはもっと先になるかもしれないけど、それも視野に入れながら仕事を組み替えていくのは20代のうちにやっておきたいですね。ライフスタイルが変わっても無理なく活動を続けていく方法というか。そういう年になったってことなんですかね。

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野口尚子
(26歳/印刷コーディネーター)

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のぐちなおこ 
1984年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、出版系の制作会社に就職。その後フリーランスとなり、印刷専門のディレクションを行う『印刷の余白Lab.』を立ち上げる。紙と印刷に関わるワークショップ『紙ラボ!』も主催。『AR三兄弟の企画書』(日経BP)では装丁デザインを担当するなど、活動は多岐にわたる。
twitter:@kami_labo

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