まつきあゆむ(26歳/ミュージシャン)Part.1|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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1.自宅録音のきっかけ

まつきあゆむ(26歳/ミュージシャン)
ーーまず最初に、今日は取材を受けて頂いてありがとうございます。すごく嬉しかったです。

「いやーいやいや。むしろ今回はノープロモーションでやってるんで、手を挙げて頂いてこちらこそありがたかったです」

ーー今回の『一億年レコード』の件での取材は結構来てますか?

「そうですね。いわゆる広告を打つとかのプロモーションをしていないわりには、今まで普通にアルバム出した時以上に反応はあるかもしれないです。このアルバムのいちばん凄いことだなって思ってるのは、聴いてくれた人や感動してくれた人がメディアになって広げて行ってくれてるってことなんです。こういう取材だって、ツイッターで誰かが「一億年レコードは良かった」って書いてくれてるのとあまり変わらない部分もあるというか。どっちが影響力あるかって言ったらそれは人によって違うじゃないですか。だからそういう方法論で広がってくれてる感じはありますね」

ーーでは今に至るまでの流れを少しお聞きしたいんですが、まず公式サイトのプロフィールでは14歳で自宅録音を始めたと出ているんですが、これは何を録ってたんですか? もう自分のオリジナルの歌を?

「それはビートルズのカバーとかですね。あとは単純に「あー」って言ってるのを何回も録って「あ、ハモった」って楽しんでたり。録音して再生してってことがすごい好きだったんですよ。自分の声って変だなとか、なんかそういう感動を繰り返し味わってて」

ーーどうして音を録ろうと思ったんでしょう。14歳で録音するのが好きってあまり聞かないですよね。

「うーん、どうなんだろう。昔はCDからテープに落とす作業って非常に大事なことだったじゃないですか。それがだんだんCDからMDになり、CDからMP3になりっていう変化があるだけで。あの当時はテープの録音ってすごく大切なことで、この曲でこの編集だったらこのエンディングのタイミングで録音ボタン押すと「あー最後ちょっと切れちゃった」とか」

ーーあー! 確かにそういう楽しさはありましたね。

「そういう楽しみって多分誰でも持ってて、その延長線上で僕は自分の声を撮って再生してっていう。エディットする作業がすごい好きだったんで。だから今でもprotoolsを使ってエディットしてるのって、あの頃とあまり変わってないですよね」

ーー音楽だと14歳当時はどんなもの聴いてたんですか?

「まず最初に12歳とか11歳当時にビートルズがあって、それが僕の中では音楽として認識した初めての音楽っていうか。それからはそのご時世に合わせてシャ乱 Qとかスピッツとかミスチルとか、ラルクアンシエルとかも。GLAYの『BELOVED』(96年)のイントロを教室で弾いた時のヒーロー感たるや、もう(笑)」

ーー(笑)。確かにGLAYの時代でしたしね。

「まつき実は凄いヤツなんじゃねーの? みたいな感じで(笑)。そういうのはありましたよね」

ーー11歳くらいでビートルズを聴いた時はどんな部分にすごさを感じたんでしょう?

「なんだろうなぁ。小学校5年生くらいの時って、昼の放送とかでみんなで自分が良いと思ってる曲をかけるじゃないですか。それって10歳くらい子供のどうしようもない主張なんだけど、それで『愛しさとせつなさと』……あとなんだっけ?」

ーー心強さですね(笑)。篠原涼子の『愛しさとせつなさと心強さと』(94年)ですよね。

「そうそう。そこらへんの曲がかかってたんですよね。テレビで流れてるからみんなそういうのが好きな音楽なんだって僕は思ってて、ピンと来てないけどそういう認識だったんですよね。でも何で音楽ってあるのかなとかドッチボールしながら思ってて、そんな時に友達のお父さんにビートルズを貸してもらったら「これが音楽なんだ」って思ったんですよ。今でも忘れないのが、その友達の家から帰って寝室でCD聴いてたら、すごいものがこの世の中にあるんだって知って、さっきまでいたその友達の家に電話したんです。「さっき借りたこのCDすごいって知ってた?」みたいな意味分かんない会話を一方的にして。「これすごいんだけど!!」って逆に勧めちゃうみたいなことがあって、それくらい衝撃だったんです。それが僕の中での音楽の始まりっていうか」

ーー小学校当時は何か夢ってありましたか?

「ビートルズを聴いてからは、これをやるしかないなっていうか。こんなに素晴らしいことが可能ならば、これをやるしかないっていうのは思ってましたね」

ーー小学校当時から音楽で食っていくって思ってたんですね。

「うんただ、音楽で食べるっていうその「食ってく」っていう感覚は小学生にはあんまりなかったから。でもこれをやって生きて行きたいっていうのは思ってました。塾に行く途中に自転車に乗りながらよく考えてましたね」

ーー音楽に対する目覚めみたいなものが早かったんですかね。

「でも、ビートルズ聴いたらみんなそう思うでしょ? って僕は思ってるんですけどね。乱暴な言い方かもしれないけど」

ーーではオリジナルの曲を最初に作ったのはいつだったんですか?

「それは高校1年とかですかね。でもそれもモノマネみたいなもんでしたけどね」

ーーそれは自分の曲を作ろうと思って詞を書き始めっていう?

「ビートルズをコピーしても歌えなかったんですよね。物理的にはもちろん歌えるんですけど、その時にビートルズをずっと聴いていたおかげで逆に日本語の歌詞の力みたいなものにだんだん気付き始めたっていうか。それと今でも結構思うんですけど、僕は音楽的にはそんなに詳しくないんですよ。僕の音楽聴いてくれてる人たちのほうが色々聴いてるっていうか。そういう部分は鈍感で。エモコアとか言われても「ハァ?」ですよ(笑)」

ーージャンルとかは僕も全然分かんないんですよね(笑)。勉強したほうがいいのかなとか何度も思うんですけど。

「特に僕らが高校生くらいの時ってそういうの流行ったじゃないですか。グラスゴーのポストロック的なアプローチで、とか(笑)。なんだよポストロックって! って思ってましたよ」

ーーあんまりそういう部分には興味がなかったんですね。

「興味がなかったっていうか、そういう部分をすくい上げる作業をしていなくて、自分が好きなものをひたすら聴いてたって感じですよね」

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まつきあゆむ
(26歳/ミュージシャン)

まつきあゆむ(26歳/ミュージシャン)

1983年生まれ。14歳で自宅録音を始め21歳でCDデビュー、その後4枚のアルバムをリリース。07年にはmyspaceで毎週永続的に新曲を発表すると宣言した「新曲の嵐」をスタート。
2010年1月1日にダウンロード限定でまつきあゆむが直接販売する『1億年レコード』を発売し、リスナーから活動資金のための寄付金を集めるMAF(マツキアユムファンド)を開始したことで話題を呼ぶ。今年4月には全国を旅行しつつ、旅先でのライブをUSTREAM中継するスタイルのツアー「旅行」を敢行。
USTREAMにてインターネットラジオ「ほうかご実験クラブ」を毎週土曜日放送中。

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