熊谷彰博(25歳/デザイナー)part.3|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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3.ひとりでも自分の意志を示せる世の中になったから

熊谷彰博/アンケート1熊谷彰博/アンケート2

ーーそれではデザインについて少し突っ込んで聞いてみたいんですが。例えば雑誌だと15年くらい前まではデザインって概念がなくて、今でこそエディトリアルデザインとか格好良く言われますけど昔はレイアウターって言われてたらしいんですね、レイアウトをする人っていう意味で。でもここ最近で急にデザインっていうことが言われ始めて、「デザイナーズ○○」って名前がついているとすごく格好良いものとか、ちゃんとしているものだっていう漠然としたイメージが浸透したと思うんですよ。ここ10年で急激にデザイン、というかデザインを取り巻く環境って変わったんだろうなって思っているんですけど、そういう今の状況がバブルっぽいところもあるのかなと僕は思っていて。だからあと5年10年くらいしたら「デザインとかもういいよ」ってバブルが弾けちゃうこともあるのかなって思うんですけど、そういうことは考えますか?

「仰ることは分かります。確かに製品が「デザイナーズ○○」という括りになる傾向がありますが、でも全くデザインされていないものはほとんどないというのも事実なんです。括りとしてそういう傾向になってきたのは商業的な意味合いが強いのでしょうけど、デザイナーの名前が出る機会が増えたという点では昔よりも変わったと思います。ただ「デザイナーズ○○」という括りが成立するということは、同じ製品を沢山のデザイナーが手掛けているということでもあって、そうすると「もっとデザインして欲しい物が他にあるのに」という声も必ず出てくると思います。それは日常で使用しているけど意識されていない製品なのかもしれないし、どんなものなのかは分かりませんが、そういうところを探し当てて挑んでいくバランスが維持されれば、デザインは常に必要とされると思っています」

ーーあとは現代アートともちょっと似ているところがあるのかなって思っていまして、例えば村上隆のあんな絵が何億で売られたりとか、ダミアン・ハーストのガイコツが何十億円ってなったりとか、そういうもの・現象とも近いところがあるのかなと。作品そのものよりも「村上隆だからすごい」とか、ダミアン・ハーストが「あれはこういう考えで、こういう想いがあって制作したんだ」っていう説明があるから評価されるっていう部分がありますよね。デザインにしても、そのデザインだけを見た時にはなにも感じなくても「誰々がこういうコンセプトで作った」っていう付随しているものがあるから評価されるっていう。だからデザイナーっていうのは面白いデザインや画期的なデザインを作ることよりも、自分のコンセプトを説明する能力のほうが実は重要なのかなって思うんですが、それはどうですか?

「デザインの語源の中には「意図を示す」という意味もあり、その「意図」にはコンセプトも含まれると思っています。個人や極少数のデザイナーの場合は多少なりとも作家性は出てきてしまうものだと思いますし、まず人に伝えなければいけないのでコンセプトはどうしても必要なものなんです。ただ、言葉で説明しなくとも「この形はすごく好き」と製品を触って感覚的に判断する方々も多いと思います。結局はどちらも重要なことですよね。それに自分が今後どういう方向性に進むかはまだ分かりませんが、デザイナーをとりまく状況は昔よりも恵まれた環境になっているとは思います」

ーー恵まれた環境というのはどういう部分で?

「一人でも自分の力や意思をちゃんと世の中に示せるようになってきたと思うんです。良し悪しはあるでしょうが、その人がなにか正しいと思えることを示したいと思えば、実力さえ伴えばそれが通る世の中になってきたと思います」

熊谷さんの作品より
熊谷彰博/オリンパス純正カメラバッグ CBG-2オリンパス純正カメラバッグ「CBG-2」(09年)
…カメラとバッグを持つ人を美しく引き立てるフォルム、デジタル一眼レフカメラを心地よく使用できる機能を両立させたカメラバッグ。グッドデザイン賞受賞
熊谷彰博/個展「Birthday」個展「Birthday」(09年/OZONEにて)
…来場者へのプレゼントになる個展をコンセプトにエントランスの大きなガラス面をリボンでラッピングするように特殊なカッティングシートで包装。展示空間では各展示物のリボンをゆるやかに紐解き、リボンという最も細い柱で展示領域を示し、心地よく鑑賞できる空間を演出。
Photo by Takumi Ota

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熊谷彰博
(25歳/デザイナー)

熊谷彰博プロフィール

くまがやあきひろ 1984年東京都生まれ
デザインディレクターとしてプロダクトデザイン/空間デザイン/ブランディングなどのコンセプトメイキング・デザインを手掛ける。主な仕事にオリンパスのカメラバッグ「CBG-2」を手掛けグッドデザイン賞を受賞。他、DDA賞、SDA賞、エル・デコ : Young Japanese Design Talent 2009など受賞歴多数。昨年はOZONEにて個展「Birthday」を開催し、今後の活躍が期待される注目の若手デザイナー。

AKIHIRO KUMAGAYA
twiiter:@AKUMAGAYA

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