甲田悠一郎(25歳/ドラマー)Part.5|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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5.この生き方を辞めたら

甲田悠一郎(25歳/ドラマー)
ーー10代の頃には20代の自分はこうなってるだろう、こうなっていたいっていうイメージは色々持っていたと思うんだけど、実際いま20代半ばになってみてどう? 昔思い描いていた自分と今の自分と。

「うーんそうだねぇ。10代の頃はもっとバリバリに音楽やってるかなって思ってたけど、今はバイトとかもしながら音楽やってる状況だったりするからね。でもそれは別に後悔もしてないし、むしろ必要なことだったと思うし。本当だったら高校とか大学を卒業したあとに、働きながら必死で音楽やって模索してっていう時期があるべきことだと思うんだけど、それがなかったから。だから今それをやってるって思ってるし、それをやってこなかったから核がなかったのかなとも思うし。
 世界を広く見ないうちに世界を作らなきゃいけなくなったから作れなかった。まだまだ吸収できる時期だったのにそれができなかったって思ってるから。だから今はその時にできなかったことをやらないといけないと思ってて。もちろんその時にインディーズやメジャーで経験させてもらったことも有り難い経験がすごいたくさんあるし、それがあるから今があるっていうの思ってるしね」

ーーいま25歳であと5年ほど20代があるけど、どんな30代になってるだろうなとか、なっていたいなって思ってる?

「やっぱり音楽どうこうっていうよりも、人間として魅力的になっていたいとは思うよね。それは外見的なものも内面的なものも、仕草とか考え方とかも全部含めて人として魅力的でありたいと思うかな。その時にドラムでそれを表現できればいちばんいいけど、でもそれがどうなっていくかは分からないし」

ーーそっかぁ。ちなみに今彼女はいるの?

「彼女はいないよ」

ーー例えば今後彼女ができてその彼女に「結婚したいから仕事してよ」とか言われたら音楽辞めちゃうかもしれないしね、って思って。やっぱり先のことは分からないしね。

「そうだよねー。でもそう言われるのが嫌だから作らないってのもある(笑)」

ーー同年代で結婚して家族持っている人もいるだろうし、バリバリ働いている友達とかもいると思うけど、そういう姿を見て焦りや不安を感じることはある?

「うん、あることはあるしすごいなって思うけど、だけど昔からサラリーマンにはなりたくないっていう思いもぼんやりと持っていたし。今はまぁサラリーマンも面白いかもしれないなとは思うんだけど、でも今の自分を作って来たのはやっぱり音楽とか哲学とか映画とか、そういう生き方をしてきた結果が今だから、もしこの生き方を辞めたら違う自分になっちゃうとも思うんだよね。そういう意味で、こういう生き方とか今持っている考え方をいつまでも続けて魅力的なものを作って、それでしか見えない世界を見たいとは思うかな」

ーーなるほどね。では最後に30歳までの目標を書いてもらいたいんだけど、なにか思いつくものある?

「スタートラインに立つってことかな」

http://twitter.com/shoshirasaka/status/19759176064

おわりに



 メジャーで音楽業界を体感した甲田君は、なぜこれからも音楽を続けるのか。それが今回僕がいちばん聞きたいことだった。このテキストの中にその答えがあるのかどうかは自分でも分からないが、彼の言葉の端々から感じたのは悔しさではなくこれからに賭ける想いや意気込みだったことが印象的だった。
 彼の言う「スタートライン」とは何を指しているのかもお聞きしたが、ここには乗せないことにした。 音楽を目指している人全てにそれぞれのスタートラインがあり、それを否定したくないという彼の意向だ。そんなことからも気迫溢れるライブ中とは違った、柔和で寛容な彼の人柄を感じられるだろう。
 それぞれが定めたスタートラインに立つこと。立てるように自分を高めること。
 全てはそこから始まるということを、彼に教えてもらった気がした。

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甲田悠一郎
(25歳/ドラマー)

甲田悠一郎(25歳/ドラマー)

こうだゆういちろう……1985年1月生まれ、A型。
5歳の頃に高校で出会った渡辺豪(ギターボーカル)と、渡辺の中学の同級生だった平井遥樹(ベース/現在は the birthday のメンバーとして活動中)と共に 『てるる…』 を結成。すぐに精力的なライブ活動を始める。バンドコンテストでの受賞をきっかけに知名度を上げ、03年にインティーズデビュー。平井が脱退するも高校の同級生だった井嶋啓介(ベース/現在はmyuuRyのメンバーとして活動中)が加入し、06年にメジャーデビュー。セカンドミニアルバムの中の1曲『車輪』が「COUNT DOWN TV」07年1月度のエンディングテーマに抜擢されるなどして話題を呼んだ。
その後バンド名をteruru…に変更、ベーシスト井嶋の脱退と原孝允の加入を経て、現在はDichtenと再びバンド名を変えてメジャー時代にできなかった自由な発想と実験を楽しみ、挑戦し続けている。

■Dichten公式サイト…http://www.dichten.jp

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