甲田悠一郎(25歳/ドラマー)Part.3|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

title.png

3.ドラムには人間性が出る

甲田悠一郎(25歳/ドラマー)「teruru…FINAL」(@shibuya O-EAST)より。2部構成だったこの日のライブは1部がteruru…と してのラストライブ、2部がDichtenとしてのファーストライブだった。



ーー俺はバンドをやったことがないから分からないんだけど、甲田がどんなにこれをやりたいっていうことがあっても、他の2人とそれが一致するとは限らないじゃない。そういう部分の擦り合わせとかイメージの共有っていうのは実際すごい難しいんだろうなっていうのは思うんだよね。

「難しいね。すごい難しいしすごい大変だしすごい面倒くさいし(笑)。でもそれをやらなきゃいけないんだよね。だから話もしなきゃいけないし、例えばこういう映画が面白かったとか本が面白かったとかさ。バンドではこういうものをやろうとか、じゃあこういうやり方をやろうとか。そういうディスカッションがないといけないよね。そういう部分もあってバンドの3人で暮らしてたんだけど」

ーーアマチュアになってから3人で暮らしてたんだ?

「うん、事務所抜けてすぐにね」

ーー3人暮らしはどうだった?

「まぁCDとかもすぐに渡せるし、映画借りて来たら面白かったよーって話したりとか」

ーー男3人で住んでるって全然想像がつかないんだけど、実際どうなの?

「んー、汚かった(笑)」

ーー部屋はどのくらいの広さ?

「3LDKだったかな」

ーー家事はどうしてたの?

「分担だけど、その辺はうまくチームワークができてて、誰かが料理したら洗い物は作ってない人がやるとか、洗濯は誰かやる時に「なんか洗うものある?」とか。曜日で担当決めたりとかじゃなくて、自発的に。誰かがやってたら誰かが違うことしてって」

ーーへー。男のパンツばっかりがずらっと並べられるわけでしょ?

「(笑)。そうそう」

ーーあんまり聞かないよね、男3人で住んでるって。

「そうだねー。まぁいろいろ言われたけどね、良くバンドメンバーで一緒に住めるねとか。まぁできないバンドもあるだろうけど、プロのミュージシャンでも昔バンドメンバーと住んでたって人はいるし。それはバンドの色だと思うから」

ーーバンドを辞めようっていうのはなかったんだ?

「そうだね。辞めようって思ったことはもちろんあったけどね、高校の時からやって来た中では」

ーーそれは音楽辞めようかなじゃなくて、ドラムを辞めて他の楽器やろうかな、っていう?

「いや、音楽自体を辞めようかなって」

ーーそれはどうして?

「なんだろうね……。苦しいからだね」

ーーそれは自分の思っているような音が出せない、思っているようなものが作れない、っていう?

「うん、結果が出せないっていうのももちろんあるし。やっぱり自分の殻を破ってくことが嫌になったりとか、これ以上やって意味があるんだろうかとか。でもやっぱりライブやったりスタジオ入ったり、自分が成長できたなって実感できる瞬間があると面白いしね。自分にはこれしかないなってやっぱり思うし」

ーー他の楽器やってみようっていうのはある?

「あるある。ギターやってみようって思ってFで挫折して」

ーーあぁ(笑)。やっぱりそうなんだ。Fは難しいって良く言うよね。

「2回くらい挫折したもん。Fは本当難しいんだよ(笑)。あとはピアノもまたやってみようかなって思ったりもしたんだけど、そんなに情熱は湧かなくて。だったらまだまだドラムでやれることがあるのかなって思ったり」

ーー大学卒業してから今までで、音楽辞めようかなって思ったこともある?

「んー……、でもそこまで真剣に考えたことはないね。一瞬思ったことがあるくらいで。本当に真剣に辞めたいと思ったことは多分ほとんどないと思う。これ以上上手くなるんだろうかとか、限界なんじゃないかとか思うこともあるし。でも限界かなって何回も思ったけど、でも限界じゃなかったから。その時に比べたら確実に成長してるし。だからそれが励みになってるし、辞めたいって思ってもそれは努力を辞めたいっていう自分の弱さだってことも分かってるから。限界だと思った時が次にいくチャンスだと思うし、いつまでも今のままでいいと思ったらそれ以上上に行けないし。疑問を持つから初めて努力するわけでさ」

ーーではドラマーとしての甲田君について色々聞きたいんですが、まずドラムの面白さってどんな部分だと思ってる?

「そうだなぁ、やっぱりすごく人間性の出る楽器だと思うんだよね。ドラムって叩き方とかリズムの取り方とか、あとは腕の長さとか手の大きさとか体重とかそれだけで音が全然変わるし。あとはその人がもともと持ってるリズム感っていうのがあって、同じリズムを叩いてても微妙にニュアンスが変わったりもするものだから。だからすごく個性が出るもので。例えば陽気なリズムを叩きたいと思ったら自分が陽気な気分じゃないとその音って出せないんだよね」

ーーへー、そういうもんなんだね。

「うん、だから人間性から変わらないといけないし、社交的で開けた音を出したいと思ったら、その人間自体が社交的で開けてなかったら演奏してる時にそれは絶対に分かっちゃう。大人っぽいブルースだったらゆったりしたリズムになるけど、それってすごく難しくて、普段の生活でも大人でゆったりしてて格好良くならなきゃいけないし。
 だから自分がそういう人間になれたと思うとそれがに反映してくるし、逆にそういう演奏ができたと思ったら人間としてもそういう風になれたってことで。だから自分の人生ですごく大きな要素になっている音楽と哲学っていうのはすごくリンクしてると思ってるんだよね。哲学ってやっぱり人間の内面的なものや人間性をを学ぶものだから、それはすごくリンクしてるなって」

ーーあーなるほどね。ちなみにドラムセットっていつ頃自分で買ったの?

「俺が買ったのはメジャーになってからで、ある程度使う機会があるってことで買ったんだけど。大学2年とかかなぁ」

ーーじゃぁドラムはあまり自分では持ってないもんなんだ。

「そうだね、なかなか普通は持ってないね。置き場所もないし」

ーー値段はいくらくらいするの?

「もちろんピンキリだけど、普通に買ったら50〜60万くらいはするよ。それでも安い方」

ーーうわー!! そらカンタンには買えないね。ギターみたいにとりあえず安いの買ってみてってわけにはいかないんだね。

「でもドラムはとりあえず叩けば音が出る楽器で、唯一のアナログ楽器だから。だからさっきも言ったみたいに奥が深くもあるんだけど。チューニングももちろんあるんだけど、叩く側のスティックの握り具合とか力の入れ具合とかだけで出る音って本当に全然違うんだよね。その人の存在自体がその人の音っていうか。だからいちばん個性が出る楽器だと思ってる」

ーーではドラマーとして必要な才能って何だと思う?

「なんだろうなぁ。ドラマーに限らないかもしれないけど、純粋さとか素直さかな。もちろん生まれた時から本当にズバ抜けた才能を持っている人っていうのはいると思うけど、そういう人も自分の見聞きした知らない世界を受け入れる心がなかったらすごいものは作れないと思うんだよね。どんなすごいアーティストでもやっぱり成長するためにいろんな努力をしてるだろうし、才能だけでやっていられる人は絶対にいないと思うんだよね。才能プラス素直さ、っていうのかな」

ーー純粋さかぁ。ものすごく素人っぽい考えだと、リズム感かなとか思ってたんだけど、そんなことはたいしたことじゃないのかな(笑)?

「リズム感は養えるしね。それこそ音感とかも矯正しようと思えばなんとかなるし。例えばボーカルだと声ってある程度生まれ持ったものってあるけど、でもそっから更に上手くなるにはやっぱり努力しないとダメだし」

ーーあー、そうなんだ。じゃぁ今までに影響を受けたドラマーって誰かいる?

「最初はブランキーの中村さん(中村達也氏)とかだったかな。あとはユニコーンの川西さん(川西幸一氏)が大きいよね。最近ユニコーン復活したけど、てるる…でやってた時に川西さんはジェット機ってバンドをやってて、ツアーを一緒に回らせてもらったりしてたんだよね。すごい良くしてもらってて、ライブ終わったら毎日打ち上げで一緒に飲んだりとか、移動中も話してもらったりとかして。川西さんはもちろんドラムもすごいんだけど、人間性もすごく良い人で。俺とは親子くらいの年齢差があるししかも一流のドラマーなのに、すごくオープンで奢りもなくて、俺らみたいな20代前半の若造とも普通に話してくれて」

ーーへー、そうなんだ。

「だから人間性はドラムに出るっていう自分の考え方は間違ってなかったなって思ったしね。ジェット機で回ってる時は普通のライブハウスとかだったから、みんなが使ったドラムセットを川西さんも普通に使うのよ。でもどこに行っても川西さんだけ全然音が違うんだよね。デカいし良い音が出るし、毎回必ず川西さんのいつもの音が出るんだよ。みんなと同じセット使ってて毎回違うドラムセットなのに、川西さんだけは川西さんの音なんだよね」

ーーそういうもんなんだね。

「それはやっぱり叩き手の問題で、良い音が出ないのを楽器のせいにしたらいけないんだよね。だから自分もそういうドラマーになりたいなって思うから、売れるだけでいいとかそういうんじゃなくて、本物になりたいって思ってる」

before.png |1|2|3|4|5|6| next.png

甲田悠一郎
(25歳/ドラマー)

甲田悠一郎(25歳/ドラマー)

こうだゆういちろう……1985年1月生まれ、A型。
5歳の頃に高校で出会った渡辺豪(ギターボーカル)と、渡辺の中学の同級生だった平井遥樹(ベース/現在は the birthday のメンバーとして活動中)と共に 『てるる…』 を結成。すぐに精力的なライブ活動を始める。バンドコンテストでの受賞をきっかけに知名度を上げ、03年にインティーズデビュー。平井が脱退するも高校の同級生だった井嶋啓介(ベース/現在はmyuuRyのメンバーとして活動中)が加入し、06年にメジャーデビュー。セカンドミニアルバムの中の1曲『車輪』が「COUNT DOWN TV」07年1月度のエンディングテーマに抜擢されるなどして話題を呼んだ。
その後バンド名をteruru…に変更、ベーシスト井嶋の脱退と原孝允の加入を経て、現在はDichtenと再びバンド名を変えてメジャー時代にできなかった自由な発想と実験を楽しみ、挑戦し続けている。

■Dichten公式サイト…http://www.dichten.jp

interview

モーニングス(バンド)取材・文:田島太陽
#10 野口尚子/印刷コーディネーター

モーニングス(バンド)取材・文:田島太陽
#09 the mornings/バンド

ヌケメ インタビュー(聞き手:田島太陽/撮影:市村岬)
#08 ヌケメ/ファッションデザイナー

加耒徹/バリトン歌手 インタビュー(聞き手:田島太陽/撮影:市村岬)
#07 加耒徹/バリトン歌手

more interviews