木下晋也(29歳/漫画家)Part.5|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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5.もっとめちゃくちゃなものを試したい

木下晋也(29歳/漫画家)

ーーストーリーマンガを描きたい思いってあるんですか?

「今の所はそこまでは強くないですね。笑いを見せるために効率がいいことをやりたいって思いが強いんで。物語にしちゃうとどうしても笑いを入れにくくなってきたりとかすると思うし。「もっとキャラクターを立てた長い話が読みたい」とか言ってもらえることも多いんですけど、正直僕は今そういう部分に全然目が向いてなくて」

ーーとうことは『ポテン生活』でも登場人物をキャラクター化していないのは、キャラクターとして色んな設定がついてくるとそれが邪魔になっちゃう、っていう?

「そうですね。キャラクターを優先させないといけない場面が出てくるのがあまり好ましくないって思うんです」

ーーただ今回の単行本ではちゃんと名前がついてるキャラとして初めてツタンくんが出てきますよね。あれはどこから出て来たんですか?

「あれは確か藤子不二雄漫画を読み返してた頃に出来たキャラクターだったと思うんですよね」

ーー結構前からあったキャラなんですか?

「連載が始まってすぐくらいの頃にはもうあったと思いますね。ちょっとまだ早いかなって思う所があって止めてたんですけど」

ーーそうですか。やっぱり木下さんの中では面白い漫画を書くということよりも笑わせたいという欲求が先にあって、笑ってもらうための道具として漫画を選んだんですね。

「そうですね、そうかもしれないです」

ーー自分がもっと喋れてキャラクターがあれば、芸人さんとしてやってるかもしれないわけですよね。

「そうだと思いますね。だから芸人さんに対するリスペクトはすごくあって、多分漫画家さんよりもあるくらい(笑)」

ーーへーそうなんですか! では最近好きな芸人さんは?

「バナナマンとか好きですね。あとはアンタッチャブルもすごい好きで、だから最近柴田さんがいなくなっちゃったのが残念なんですよ。漫画描きながらもポッドキャストでTBSのJUNKとか効いてますし。あとはさまぁ〜ずも好きですね」

ーー具体的に今後描きたいものとか、次回作の構想みたいなものって何かありますか?

「うーん、もっとめちゃくちゃな感じのものは試してみたいなっていうのはありますね。いちばん笑いに忠実な感じにするというか。『ポテン生活』もわりとそういう感じではあるんですけど、一応人間が出て来て生活の中にあるもの、っていう括りはあるんで。もっと笑いメインで、その笑いを生かすために全部考えられるような、自由な感じで」

ーー今回3巻が出て連載も始まって約2年ですが、少しづつ実感や手応えっていうのは増えて来てますか?

「そうですね。知ってるよって言ってくれる方が少しづつ増えて来たかなとは思います」

ーー木下さんの中では『ポテン生活』のどんな部分がファンの方たちに受け入れられてると思いますか?

「やっぱり平和な感じがいいんですかね。人も死なないし、安心して読めますよね。寝る前に読んでくれてる方が多いとも聞きますし。ただ意外と僕、外れてるなって最近思ってて。僕の予想とは全然違うところで反響があったりして「あ、そこが面白いんだ」って思うことが多いんですよ(笑)。だから、これはダメだなって思ってるものも入れてみたら意外と受けが良いってパターンもありますね」

ーー今の漫画の状況として、昔よりも漫画が一般化して来ていて30代くらいの人でも普通にジャンプ読んでたり『ワンピース』読んでたりするじゃないですか。社会的なテーマを扱っていたり、感動出来ることをウリにしている漫画がすごく増えたり話題になったりしている中で、『ポテン生活』はすごく異質な漫画ではありますよね。だからそういう漫画全体のムーブメントの中での反動というかカウンター的な流れとして、こういう漫画が評価される部分もあるかなって僕は思ってるんですよね。

「あーなるほど。それはあるかもしれないですね。今は本当に作風が二分してるなっていうのは思ってて、真ん中があまりないですよね」

ーー今は年間で漫画が1万点くらい刊行されてるらしくて、本屋だと立ち読みできない店も多いじゃないですか。だから話題になってても長い漫画はとっつきずらい部分もあるし、映画化とかドラマ化っていう分かりやすいキャッチがないとなかなか入っていけない部分もあると思うんですよね。そういう中で、ものすごく単純でどっからでも読める漫画が少しまた盛り上がりつつあるのかなって。そういう風に見ると同じ流れで瀧波ユカリさんの『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社)なんかも当てはまりますよね。ちなみに瀧波ユカリさんとは年も同じなんですよ。

「そうなんですね。でも、まんがくらぶ(竹書房)とかは昔からありますよね。だから最近になってどうってことはあまりないのかもしれないですけど……ただ今はやっぱり短いもの、レッドカーペット的なものがいいんですかね? そういう流れはある気はしますね」

ーーアンケートでも同世代意識はしないってことですが、年齢とかはあまり気にしないですか?

「そんなには気にしなしですね。活躍する人は気になりますけど、年齢では見ないですね」

ーー80年生まれの漫画家さんだと、今話が出た瀧波ユカリさんとか、あとは浅野いにおさんも同い年なんですよね。浅野いにおさんは未だにすごいブームが続いてますけど、このお二人の作品は読んでますか?

「(小さい声で)読んでないです……(笑)」

ーーやっぱり(笑)。同年代だからちょっと読んでみようっていう意識は働かないんですね。

「そうですね」

ーーでは僕はツイッターをやってまして、ツイッター上で結構『ポテン生活』ファンの方を見つけられたので、木下さんにお聞きしたいことをちょっと募集してみたんですね。その中から出て来たものをお聞きしたいんですが、まず小さな頃はどんなアニメを見てましたか?

「あー。東京だと分からないんですけど、関西だと朝にも夕方にもアニメの再放送があるんですよね。夏休みだと朝からずっとアニメやってて、そこで結構古いアニメの再放送を観たりもしてましたね」

ーーなにか印象に残っているものってありますか?

「夏休みにやってたものはすごい印象に残ってますね。藤子不二雄の『オバケのQ太朗』とか『パーマン』とか。いつも再放送してるからもう何回も同じものを観てるんですよ。でもやっぱり観ちゃうっていう」

ーー僕なんかだと夏休みのアニメといえば『タッチ』とか、あだち充のアニメがやってた印象があるんですけど、観てなかったですか?

「えーそうなんですか!? あだち充のアニメはやってなかったですね。やっぱり土地柄というか、ちょっと笑える系のアニメが多かったかもしれないです」

ーーへー東京と大阪だとやっぱり違うんですね。あとこの質問もツイッターで頂いたものなんですが、先日モーニングで『ポテン生活』がカラーで掲載されましたが、あれは大変でしたか?

「いやー大変でした(笑)。色塗るのに慣れてないですし、僕は色彩感覚が全くないので(笑)。とりあえず原稿をコピーしたやつに塗ってみて「あ、これじゃない」ってやり直すのを繰り返して」

ーー1枚書くのにどれくらいかかりました?

「色だけで3時間くらいかかりましたね。だから合計6時間くらいはかかってたかも(笑)」

ーーかかりましたね(笑)。あと、画材はなにを使ってますか? という質問も頂きました。

「画材はえーと……普通のボールペン的なペンですね(笑)。一応製図用のペンではあるんですけど、漫画家さんがよく使うペンじゃないです。あれに挑戦したことあるんですけど、すごい難しくて挫折しちゃいました(笑)」

ーーではもうひとつファンの方から頂いた質問で、小さい頃好きだったアイドルは? っていうのがあるんですが。

「アイドルかぁ(笑)。世代的には……Winkとかになるのかなぁ。あんまり分からないですね」

ーーテレビはあまり見なかったですか?

「いや、テレビはすごい見てましたね。でもあまり女性をっていう感じではなかったです。でも……リンドバーグの渡瀬マキが好きでした(笑)」

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木下晋也
(29歳/漫画家)

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きのしたしんや……1980年大阪生まれ。
06年に 『ユルくん』 (東京漫画社)でデビュー。8コマ漫画 『ポテン生活』 で 08年の講談社MANGA OPENで大賞を受賞し、モーニング、モーニング・ツー、モーニング公式ウェブサイトにて同作の連載をスタート。現在は他にまんがくらぶ(竹書房)、季刊真夜中(リトルモア)などに連載を持っている。『ポテン生活』は現在コミック1巻〜3巻が絶賛発売中。

【公式ウェブサイト】……『ポテン生活』木下晋也

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