木下晋也(29歳/漫画家)Part.2|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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2. タイトルの由来、100万円の行方

木下晋也(29歳/漫画家)
ーーそして08年、28歳で講談社のMANGAOPENで大賞を受賞するんですが、あの時に応募したものも今の8コマ形式だったんですか?

「そうです。あれも初めは持ち込みで行って、それで8コマを最初に見てもらったんですよね。そうしたらちょっと長いのも見てみたいって言われて色々書いてみて、それでこの中から新人賞に持って行ってみましょうってなったんです」

ーーそういう流れもあるんですね。『ポテン生活』っていうタイトルもその時にはあったんですか?

「その頃からありました」

ーーじゃぁタイトルは自分で考えて?

「そうです、自分で考えて付けましたね」

ーーこのタイトルが漫画の内容に本当にピッタリだと僕は思ってるんですが、どうやって決めたんですか?

「あーありがとうございます。でもあまり考えた時のことは自分でも覚えてなくて……すいません、響きですかね(笑)」

ーー響きなんですか(笑)。『ポテン生活』の『ポテン』はポテンヒットのポテンなんですよね?

「一応そういうつもりです」

ーー真面目なストーリー漫画とかもある中で『ポテン生活』が大賞だったわけですが、知らせを聞いた時はどんな気分でした?

「いやもう何て言うか、これでいいの? っていうのがいちばんでした(笑)」

ーー嬉しかったっていうのはもちろんあったと思うんですけど、やっぱりプレッシャーとか不安も感じましたか?

「感じましたねー。いきなりリングに放り出されたみたいな(笑)。まだ全然準備できてないんじゃないの? って自分で思ってましたもん」

ーーウェブでの連載は受賞してからすぐに始まったんですか?

「受賞してから1〜2ヶ月くらいで始まっちゃいましたね。ウェブと本誌の連載もほとんど同時に始まって」

ーーちなみに大賞の賞金100万円でしたけど、あの賞金は何に使いました?

「基本は生活費に(笑)。せっかくだから何か買おうって思ってたんですけど、何か買ったのかな……。もう特に覚えてないくらいです」

ーー旅行に行ったとか大きいもの買ったとかは何もなかったんですね。

「そうですね。もともと貯金もたいして無かったですけど、口座に入ったらどこからどこまでがその100万円かも分からなくなっちゃいましたし(笑)。あとは今の部屋に引っ越す資金にはちょっとなったかな」

ーー『ポテン生活』を読んだ人のほとんどが考えることだと思うんですが、どうして8コマなんでしょう?

「それは長い話が書けないっていうのと4コマだとちょっと足りないっていうのがあって、その間を取って8コマになったって感じですかね。あとは中崎タツヤさんがやってるもの(ビックコミックスピリッツで連載中の15コマ漫画 『じみへん 』 )の半分、っていうか。笑いとして間(ま)を取ろうと思ったら4コマじゃやっぱり足りないなって思ってて。それもブログをやってる間に固まった感じですね」

ーー15コマは長かったんですか?

「15コマは長いんですよ(笑)」

ーーそれはやっぱり昔からお笑いが好きで色々見て来た中で培った感覚的なものなんですかね?

「そうだと思いますね。一番ハマったというか、やりやすい長さだなって。でも微妙な長さだから逆に苦労することもあるんですけどね。無理矢理引き延ばしてる感がありありと出ちゃってる時もありますし、もうちょっと続きそうだけど無理矢理8コマに納めないとっていうのありますし」

ーー受賞してから連載が始まるまでが2ヶ月くらいしかなかったってことですが、その期間だとストックがたくさん作れたわけではないですよね?

「でもその頃はブログに載せたやつをそのまま持って来ちゃったりしてて。だから『ポテン生活』に関してはストックが未だに残ってるんですよね。珍しいパターンらしいんですけど。普通の方は毎週締め切りに合わせて描いてるって感じらしいですからね」

ーーじゃあ結構昔に書いたものを、ちょっと修正したり加筆して掲載っていう感じのものもあるんですね。

「そうですね」

ーー『ポテン生活』の内容のなんとも言えない面白さとかシュールさっていうのはどういうところでネタを拾ってくるんですかね? あとはどういう判断で「これは書けるな」って思うんですか?

「結構ファミレスとか喫茶店とかで考えることが多くて、その場にいた人を参考にしたり、散歩してる時に見た人とか、あとは面白いフレーズが思いついてその言葉から広げるとか、色んなやり方はありますね。あとは散歩してる途中に面白いことを思いついたら書き留めたりとかもするようにしてます」

ーーやっぱりすごく感覚的というか、このネタを漫画で描こうとするのがすごいっていうものもありますよね。

「よく言われます(笑)。自分の中では「これは一本のネタとしてアリだ」って思って描いているんですけど、周りの人からは結構「なんでコレを?」って言われますね」

ーーえ、木下さん自身はユルい笑いを描いてるつもりはない?

「そうですね。ユルさで笑ってもらおうとは思ってないというか」

ーーへー! それがまた面白いですね(笑)

「そうかもしれないですね(笑)」

ーーじゃあ描き上がった時はいつも「これはすごい面白いぞ」っていう感触があるんですか?

「うーん、一応常に爆笑を狙ってはいるので。でも読み返してみて「爆笑まではいかないかな」って思うことはありますけど(笑)」

ーーいやー、それは個人的には結構意外ですね。ユルいテイストを狙ってやってるのかと思ってました。

「いや、いつもホームラン狙って打席には立ってるんですよ(笑)」

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木下晋也
(29歳/漫画家)

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きのしたしんや……1980年大阪生まれ。
06年に 『ユルくん』 (東京漫画社)でデビュー。8コマ漫画 『ポテン生活』 で 08年の講談社MANGA OPENで大賞を受賞し、モーニング、モーニング・ツー、モーニング公式ウェブサイトにて同作の連載をスタート。現在は他にまんがくらぶ(竹書房)、季刊真夜中(リトルモア)などに連載を持っている。『ポテン生活』は現在コミック1巻〜3巻が絶賛発売中。

【公式ウェブサイト】……『ポテン生活』木下晋也

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