加耒徹(26歳/バリトン歌手)Part.2|20代クリエイター限定インタビューマガジン creatalk

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2. バイオリンと絶対音感

加耒徹(26歳/バリトン歌手)ーー大学の声楽科にいるのはみんな歌手志望の人なんですよね。生徒は何人くらいいるんですか?

「修士は男女合わせて学年で20人で、声楽科に入学した時だと最初は学年で60人くらいいました」

ーーあ、そんなにいるんですか。

「想像しているより歌い手って多いんですよ」

ーー修士課程では今その20人くらいいて、これからも歌い続ける人はどれくらいになるんですかね?

「それは正直ちょっと分からないですね。名前が出て一線で活躍できる人っていうのはせいぜい2〜3人くらいだとは思いますが……」

ーー続けていれば生活できるくらいの歌う場所はある?

「それも自分で見つけて行くしかないですよね。何かとやってる人が多いみたいですけど、でも半分くらいの人は辞めていってしまうと思います。例えば女性だったら結婚したらパっと引退しちゃう人もいるので。だから今いる20人の中から10人は歌い続けて5人は名前が残る活躍をする、もしかしたら1人は大スターになる人がいるかも、って感じだと思います」

ーー音楽をやろうと思ってる人だと、結構な割合で東京芸大を選ぶんですか?

「んー、あまり関係ないとは思いますけど、一般的に有名ですからね」

ーーじゃあ高校の時から音楽で歌い手を目指して芸大に行こうっていうのは決めてたんですね。

「福岡で習っていた先生に「1年浪人すれば芸大受かるよ」って言われてたので、なんとなく芸大を目指しての浪人生活を送ってて。だから自分の中では芸大以外ではあまり考えられなかったんですよ。他に声楽科がある大学はほとんど私立だから、それはちょっと無理かなとも思ってて。浪人生活時代はかなり何も考えずに生活してましたよね、漠然と」

ーー授業の内容ってどんな感じなんですか?

「やっぱり色々あるんですけど、一般教養とかもあって。でも普通の大学よりはずっと楽だと思いますよ」

ーーえ、一般教養もあるんですか?

「そうなんですよ、多分国立大だからそういう縛りもあるんだと思うんです。あとは声楽科の場合は語学が多くて、3カ国語は必修なんです。声楽の実技はもちろんあるし、ピアノの授業もありますね」

ーーへー。ピアノも弾けるんですね。

「いや、もうできないです(笑)。3年までやったんですけど忘れちゃいましたね」

ーーバイオリンは今でも弾けます?

「多少は弾けますけど、でも専門的に見たら絶対弾けないですよ。ああいう楽器って勘がすごい鈍りやすいので。一週間触らなかっただけでもう指動かなくなりますしね」

ーーバイオリンを始めたきっかけは何だったんですか?

「最初は本当になんとなくでした。昔から音楽自体は好きだったし、絶対音感があったんで勝手に楽譜書いたりしてたんですけど」

ーー絶対音感! 音楽を聞いてそれを楽譜に書き起こしたりしてたんですか? 小さい頃から?

「そうですね、自分で作ったりもしてたし。この前昔の自分で作ったやつが出てきて、すごい恥ずかしかったです(笑)」

ーーそれって何歳頃の話ですか?

「バイオリン始めるのと同時くらいだから、4歳とか3歳とかですかね」

ーーえー! 何でそんな年齢でそんなことをするようになるんですかね? 

「母親がピアノの先生もやっていたので家に音楽は常に流れてて、それで自然と歌うクセがついてたり、聴こえた音通りに歌ったりする訓練が勝手にできてたんでしょうね。やっぱり生活環境が手助けしてくれたのはありますかね。あと父親はずっと幼稚園の園長をやっていて、僕はずっと幼稚園に住んでたんですよ」

ーーえ、お父さんが園長さんなんですか?

「実家が幼稚園だったんですよ。2階に家があって、1階が幼稚園でした」

ーーそんなのあるんですか!

「あったんですよー。だから1階ではいつも子供たちが歌っていたので、歌がある生活に馴染んでたんでしょうね。今は住まいはマンションに引っ越したんですけど」

ーーじゃあ昔は家に帰ると幼稚園生がいっぱいいたんだ!

「そうですね。勝手に幼稚園の運動場とか教室で遊んだりしてましたね」

ーーそんなとこあるんですね。それでバイオリンはなんとなく初めたわけですけど、当時はやっぱり楽しかったですか?

「ハマるほどは楽しくなかった気はしますね。聴くのは好きだったし、音楽に触れ合うのも好きではあったんですけど……単純にキツかったんですかね練習が。それよりもドラえもん見たかった(笑)」

ーーまぁ小学生ですもんね。

「でも親にそんなに強制されることもなくてすごく自由にやらせてもらってたので、その分全然練習しなくなったり。週に1回で先生のレッスンも受けていたので、その前日にちょっと触ったりしてたくらいで」

ーー音楽やってる人だとずっと音楽漬けっていうイメージがあるんですけど、友達と遊んだりはしてました?

「遊んでましたけど、帰ってくるのは比較的早いほうだったかもしれないです。家が好きだったんですかね? 小学校のときは運動とかも好きではなかったので、昼休みはみんなで絵書いたりしてて。……あぁでも、小学校で3回転校したのも関係してるかもしれないですね」

ーー3回も!

「幼稚園の上に住んでた頃から近くのマンションに引っ越しした時に、ギリギリ隣の学区になっちゃったので転校して、それでまた幼稚園の上に戻ったのでまた転校して、また引っ越したらまたギリギリ別の学区になってそっちに転校して、っていうのがあって。だから深い友達はできにくかったですね」

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加耒徹
(26歳/バリトン歌手)

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かくとおる……1984年5月生まれ。福岡県出身。
5歳よりヴァイオリンを始め、高校で声楽を始める。2004年、東京藝術大学音楽学部声楽科バス専攻に入学。卒業時の2008年、同声会賞受賞。新人演奏会出演。現在は藝大修士課程の二年次在籍中。第20回友愛ドイツリートコンクール第2位。併せて日本歌曲賞、日本Rシュトラウス協会賞を受賞。
声楽を福嶋敬晃、勝部太の両氏に師事。これまでにG.ボッセ、M.アンドレーエ、E.オルトナー、F.レニッケ、鈴木雅明、現田茂夫、小泉ひろし等の指揮者のもと、九州交響楽団、藝大フィル等と共演。音楽ビアプラザライオンメンバー。その他受賞歴・出演歴多数。

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